従来のビジネスの有り様や発想を大きく変革すると言われたインターネットですが、ある一定のサイクルを経験して、インターネットは便利だし大きな可能性があることはわかるけれども、コストがかかるばかりで見合う効果がないとか、インターネットやウェブの仕事をする人たちとの考え方や流儀の違いがあって、どうも円滑で心地よい仕事の進み方にならない、といった声もしばしば聞かれるところです。

　あるいは、インターネットやウェブに乗り出すと、これまで築いてきた商売にかえってマイナスになるのではないか、という意見も根強いように感じられます。

　一般企業においては、インターネットの活用、ネットビジネス、ウェブビジネスは、早くも混迷・混沌のフェーズに突入した感がおありなのではないでしょうか。

　これまで、インターネットの活用やウェブビジネスに関する書籍は、数え切れないほど刊行されてきました。確かにそうした書籍は、皆さんの新しいビジネスの視点を開くことに貢献したことでしょう。しかし、それらのほとんど全てが、先行事例に長所や利点ばかり、バラ色の未来を紹介したり論じたりするばかりで、いざ乗り出した後に直面した課題への対応策や、現実および実際のプロセスの中で求められる判断基準や問題解決のヒント、起こりうるトラブルの回避法や、想定される事態への予見に関しては、必ずしも皆さんのお役に立つものではなかったのではないかと思います。

　本書は、そうした点を踏まえ、これからインターネットをビジネスに活用していこうとされている方々はもちろんですが、それよりもむしろ、既にインターネット活用に乗り出していたり、会社からウェブ担当を命じられていたりする方々、とりわけ、これまでウェブビジネスが軌道に乗らないで四苦八苦しておられる皆さん、会社のウェブ担当となってご苦労なさっておられる皆さんのために、企画されたものです。

　もう一つ、本書でも当然、ウェブの構築やコンテンツ制作の話が出て来ますが、これまでのウェブ構築・コンテンツ制作に関する書籍では、制作を担当する側、すなわち、あなた自身やあなたの会社から仕事を受注したプロダクション側に立って書かれたものが大部分であったように思われます。

　本書は、そうした位置とは反対側のポジション、つまりプロダクションに業務を発注する側に立って、ウェブビジネスやウェブ構築・コンテンツ制作を述べていこうとしています。つまり、社外のプロダクションや人材を有効適切に大いに活用し、あなたの事業やあなたの会社の業務が効果的・効率的に進むことを願い、そのお役に立つことを願って執筆されているのです。したがって、プロダクションや社外スタッフの活用法、発注するプロダクションの選び方、見積書の見きわめ方やスタッフとのコミュニケーションの方法等、あくまで発注側、企業側の責任者・担当者が、これまで仕事の進め方をどのように見直していくか、という部分に言及しようとしています。

　書名となっている「上手な外注活用法」の由来は、こうした点から来るものです。 　このような意図から刊行される本書が、あなたが直面している課題をブレイクスルーし、インターネット活用やウェブビジネス成功への道筋を切り拓いていくための、一助となってくれることを願っています。

竹内　好

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