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日本全国の注目を集めたコンフェデレーションズカップは、ご存じのとおり、日本はファイナル(決勝)でフランスに0-1で敗れ、準優勝となりました。
来年のワールドカップとは、規模も、激しさも、厳しさも、そして何より世界各国のコンディションもモチベーションも比較にならない今大会ではありましたが、FIFA(国際サッカー連盟)が主催する公式の世界大会で日本がファイナルに進出するのはこれが2度目という快挙でした。
しかも、1度目のファイナル進出というのは、1999年のU-20ワールドユース選手権(小野伸二を中心に勝ち上がった日本でしたが、ファイナルでは小野を出場停止で欠き、スペインに0-4の大差で敗れ、準優勝となりました)のことで、年齢制限のない「フル代表」でのファイナル進出は史上初なのです。
選手たちの頑張り、そしてサポーターたちの力強く温かい声援に対して、大きな拍手を送りたいと思います。

しかし、これで世界のトップクラスに追いついたと安心するのは早計です。ファイナルをご覧になった方はお感じになったと思いますが、フランスとは大きな差がありました。スコアこそ0-1の僅差ですが、内容的には大きな差があったと言わざるをえないでしょう。実は、0-1という敗戦は一見「善戦」「惜敗」と受け止められがちですが、逆に問題点が露呈されない危うさを持っているのです。

もっとも、選手たちも、日本サッカー協会のスタッフも、何度も何度も学習を積み重ねてきていますから、「準優勝」とか「惜敗」といった雰囲気に惑わされることなく、次のステップアップを見据えて具体的な取り組みに着手してくれるものと信じたいと思います。
日本代表のトルシエ監督は、「個人の力量の向上の必要性」を盛んに主張しています。フランスとの戦いの中でも、プレッシャーの中でもブレない技術、激しいボディコンタクト(身体のぶつかり合い)でも崩れないボディバランス、素早く的確な状況分析・状況判断力などを、全選手が会得していかなくてはなりません。現在のところ、誰が見ても、それらを十分なレベルまで会得しているのは、中田英寿だけでしょう。そうです、特定の中心選手だけでなく、全選手がそれを会得すること求められるのです。

ファイナルでのフランスの決勝ゴールがそうでした。日本のディフェンス(中盤から最終ラインの守備)の出来が良く、なかなか突破できないと見るや、フランスの選手たちは、プレーを続けながら、じっとほころびを分析していました。おそらく、試合開始から20分前後でフランス選手たちの間には、言葉が交わされなくても、ゴールを奪うための戦術・対策が共通理解・把握されたことでしょう。それが実ったのが、前半30分の何気ない一瞬のあのゴールだったのです。

聞くところによると、小野伸二(浦和レッズ)にはオランダのクラブから、稲本潤一(ガンバ大阪)にはイタリアとイングランドのクラブから、正式なオファー(単なる「移籍しません?」というお声掛けではなく、「獲得したい」というオファー)が届いているそうです。
自分が今所属しているチームを放って海外のクラブへ移籍するのはどうかという議論もあるかと思いますが、小野と稲本には、是非ともチャレンジして欲しいと思います。
また、クラブ側も、確かに人気もありチームの中心である彼らを手放すことに躊躇するのはわかりますが、是非オファーを受け入れて欲しいと思います。クラブ側にも、彼らの移籍を受け入れることによって、何億円という移籍金収入が入るのですから。スタジアムにたくさんの観客を呼んで入場料収入を上げることだけでなく、所属する選手を移籍させて何億円という移籍金を獲得するのも、非常に重要で立派なビジネスなのです。

まだまだ世界のトップクラスとの差は大きなものがあります。それに、少し追いついた、差を縮めたと思っても、昨日も今日もそして明日も、彼らはどんどん先へ進化していっているのです。ですから、追いつき追い越すのは、本当にたいへんです。世界のトップクラスが進化していく猛烈なスピードの何倍ものスピードで、進歩していかなくてはならないのですから。
でも、だからこそ、世界中の人々が大きな興味と関心を持って見つめるのでしょう。だからこそ、日本でも、そんな魅力にはまる人々が増えてきているのでしょう。

さて、日本代表チームは一旦解散しますが、すぐに今月末から、日本、ユーゴスラビア、パラグアイの3カ国対抗で行われるキリンカップが開催されます。コンフェデレーションズカップのために中断していたJリーグも、再開されます。選手たちも、既に次の戦いに向かっているのです。
また、一昨年準優勝したU-20ワールドユース選手権が、6月17日からアルゼンチンで開催されます。U-20日本代表チームは、アジア予選を勝ち抜き、4大会連続の出場を果たしました。
U-20ワールドユース選手権は、ワールドカップやオリンピックと違って2年ごとに開催されるのですが、今回のU-20日本代表チームはどこまで勝ち上がってくれるでしょうか。地球の裏側からのグッドニュースを待ちたいと思います。
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