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Jリーグの1部(J1)の2nd Stageがいよいよ8月11日に始まります。
が、その前に驚きのニュースが飛び込んできました。そう、ジュビロ磐田の高原直泰の電撃移籍です。移籍先は、アルゼンチンの名門、ボカ・ジュニアーズ。あのマラドーナがかつて所属していたクラブです。そして、ボカは12月に日本で行われる「トヨタ・カップ」(*)への出場を決めていますから、「ボカの高原」として日本逆上陸ということもありうるわけです。そのためには、高原はFW(フォワード)の選手ですから、とにかくゴールが求められますので、アルゼンチンの厳しいファンを納得させるような、ゴールゲッターぶりを見せることが必要になるでしょう。

*トヨタ・カップの正式名称は、「ヨーロッパ・サウスアメリカ・カップ」と言います。ヨーロッパの「チャンピオンズ・リーグ」の優勝チームと、南米の「リベルタドーレス・カップ」の優勝チームが、一発勝負で、毎年11月下旬か12月初旬に日本で戦います。世界180カ国あまりに衛星中継されています。今年はボカとバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)の顔合わせが既に決まっています。

ところで、ボカの監督のコメントを聞いていると、高原と柳沢敦(鹿島アントラーズ)を勘違いしているのではないかと、少々不安です。なぜなら、「キリン・カップでの活躍を見た。非常にスピードがあり、右足でも左足でもゴールを決められる選手だ」などと言っているらしいからです。

いえ、もちろん高原も左右どちらの足でもゴールを決められますし、ヘディングも強いです。間違いなく、現在の日本代表のレギュラーFWです。でも、高原は先のキリン・カップは怪我のため辞退していましたから、ボカの監督の「キリン・カップでの活躍を見た」というコメントはビッグ・クエスチョンです。では、昨年のキリン・カップのことかというと、高原は少しの時間しか出場していませんし、ゴールも決めていません。どうやら、本当に勘違いしているみたいですね。突然の移籍で環境に慣れる時間もない上に、そんな怪しい雰囲気(?)も漂いますが、とにかく逆境をはねのけて活躍して欲しいものです。期待しています

さて、2nd Stageに話を戻しましょう。
1st Stageは、ジュビロ磐田の優勝で幕を下ろしました。もしジュビロが2nd Stageも優勝を遂げると、12月に予定されているJリーグ年間チャンピオンを決める「チャンピオンシップ」は行われなくなります。1st Stageでも2nd Stageでも優勝したのですから、当然のことです。ですから当然、他のチームは「ストップ・ザ・ジュビロ」で挑んでくるでしょう。

ジュビロは、中山雅史との2トップを組む高原が電撃移籍してしまいましたので、やはり戦力ダウンです。また、1st Stage終盤の戦いぶりが、必ずしも序盤の強さと充実さからは程遠いものだっただけに、他のチームがジュビロを倒す可能性はあると見ます。1st Stageの不振から巻き返しを図る鹿島アントラーズや柏レイソルは、やはり優勝候補に挙げざるをえないでしょう。また、毎年J2への降格危機にさらされながら今年の1st Stageでは2位と大躍進したジェフ市原は、2nd Stageも好調をキープするのでしょうか。ジェフは、私が一押しの阿部勇樹が怪我から復帰するので、楽しみです。
もっとも、ジェフはホームゲーム(市原臨海競技場)での観客動員数をもっと伸ばして欲しいんですけど。せっかくJリーグ全体では観客数が大幅に増加しているのに、ジェフ市原とサンフレッチェ広島の2チームが足を引っ張っている…なんて言ったら、ジェフとサンフレッチェのサポーターに怒られそうですが。

それからそれから、大注目は「どのチームがJ2へ降格するのか」という点です。年間順位で下位2チーム(=つまり、年間順位で16位と15位のチーム)が、否応なく来年J2で戦わなくてはなりません。現在、16位は東京ヴェルディ1969、15位は中村俊輔や松田直樹のいる横浜F・マリノスです。14位のセレッソ大阪も、勝点ではマリノスと同じ11ポイント(ヴェルディは10ポイント)ですから、危険ゾーンです。こうしたチームの「来年の生活がかかった」必死の戦いぶりも注目の的です。

勝敗だけでなく、こんな所にも着目していただけたら、と思う点を一つ挙げてみたいと思います。

サッカーは、もちろんゴール数(得点数)を競うスポーツですが、「ゴールを難しくしているスポーツ」「得点が入りにくくしているスポーツ」であることを特徴としています。だからこそ、たった1点に猛烈な悲喜こもごもの感情が凝縮されるわけです。

そんなサッカーでは、しばしば「相手のゴールマウスをこじあける」という表現が使われます。体力や技術を使うだけでなく、手を変え品を変え、チャレンジを繰り返し、策をめぐらし、知力を絞って、ようやくゴールが生まれるわけです。日本では、ゴールをあげた選手(得点者=ゴールとなるシュートを放った選手)だけに焦点が当てられがちです。せいぜい、シュートの前の「ラストパス」を出した選手まで、でしょう。スタジアムで観戦していても、私なんぞはシュートが放たれる2プレー、3プレー前に「お〜お〜」とか「やった、やった」などと、「ゴールが生まれる可能性・雰囲気・予感」を口にしてしまうのですが、多くの観客の方々はシュートが飛んで初めて「ワア〜」という感じです。

ゴールが生まれる前には、シュートを放つ選手や、ラストパスを出した選手以外に、その周辺で、あるいはその数秒前・数十秒前に数多くの見所が潜んでいるのです。例えば、豊富なイマジネーションと創造性や深い深い読みが潜んでいたり、それらが選手間で見事に調和・共鳴したり、テレビ画面では捉えきれない選手たちの労を惜しまない走り込み・動き出し(=それが仮に無駄になったとしても、相手の守備を崩すための大きな貢献をしている場合があります)であったり、何人もの選手たちがそれぞれに複雑で巧みな動きの変化を行っていたり、そういう「ボールのない場所」「ボールを持たない選手」の数多くのプレーが終結して実った結果生まれるのがゴール!なのです。

もし少しばかりゲームに集中できる機会がおありでしたら、どうやって相手のゴールマウスをこじ開けようと工夫を凝らしているのか、ゴールが生まれた時にはどんなプロセスでゴールマウスをこじ開けることができたか、着目してみて下さい。実に面白いですよ。
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