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4月17日、ワールドカップのファイナル会場である横浜国際総合競技場で、今年3つめの国際Aマッチが行われました。相手は、北中米代表としてワールドカップ出場を決めているコスタリカ。日本代表は、3月21日のウクライナ戦と同様、国内リーグ(Jリーグ)でプレーする選手だけで、この試合に臨みました。

3月27日のアウェイでのポーランド戦で、海外で活躍する中田英寿、小野伸二らを起用して素晴らしいパフォーマンスを見せた日本代表ですが、彼らが負傷やサスペンション(=イエローカードの累積による出場停止)によって不在の場合もあるわけで、そのような状況でも、全体のパフォーマンスを落とさないでいけるのか、Jリーグの選手たちのプレーぶりが注目されました。

結果は1-1のドロー。テストマッチですから勝敗はともかくとして、内容的には負けに等しい試合だったように思われます。明神智和のゴールは、本人も明かしているように、思い切ったクロスボールが、ラッキーにゴールインしたものです。

コスタリカは、個々の選手の身体能力に勝るだけでなく、組織としても洗練されたチームでした。コスタリカにしても新しい戦力を試すべく、この試合に7人もの代表初出場の選手たちを起用していたと聞きます。しかしそれでも、きっちりとアウェイのチームらしい戦い方ができていました。成熟度では、日本の選手たちよりも上だったかもしれません。また、後半になって再三、日本代表がゴール前に際どいクロスボールを放り込み、鈴木隆行や西澤明訓などが飛び込んでいったのですが、ことごとく体を密着させて自由に余裕を持ってシュートさせることがありませんでした。

コスタリカは、ワールドカップの組み分けでは、ブラジル、トルコ、中国とともにC組。日本がH組を勝ち抜いたならば、決勝トーナメントはC組とH組との対戦になりますから、対戦する可能性もあるのです。もしそうなったら、手強い相手となるでしょう。世界は広い。地球規模で展開されるフットボールは、どの国も強いです。

さて、日本代表です。確かに、コスタリカのゴール前での密着ディフェンスはありましたが、相手ゴール前であれだけの数のチャンスがありながら、1つもモノにできないようでは、決定力不足と言われても仕方ありません。特にFW(フォワード)の選手たちには、ゴールに対する執念を見せてもらいたいものです。諸外国の選手たちと、決定的に異なる部分でしょう。

また日本は、コスタリカの良くバランスのとれた、スペースを与えない組織的なプレーの前に非常に窮屈なプレーをさせられたように思います。サイドチェンジなどの大きな展開もできず、コスタリカの組織を崩した場面は、90分を通してほとんどなかったと言えるでしょう。単にボールのキープ率が高いだけで単調なボール回しをしているだけでは、相手を崩すことは不可能です。やはり、中田、小野が居ないと、パフォーマンスが落ちてしまうのでしょうか。

もう1つ、日本の最終ライン(DF=ディフェンスライン)の1対1の脆さについては、これも長年指摘されていることではあるのですが、あらためて不安感を持ちます。
もちろん、この試合はテストマッチ。しかも、海外でもオンエアされていると聞きます。その試合で低調なパフォーマンスに終わってしまったのも、かえって好都合と考えることにしましょう。

4月17日は、「インターナショナル・マッチ・デイ」でした。全世界で25試合以上もの国際Aマッチが行われました。私は、日本VSコスタリカが行われた翌朝、朝4:00から、ポルトガルのリスボンで行われたポルトガルVSブラジルをTVで観戦しました。スコアは日本VSコスタリカとまったく同じく、後半に1点ずつ奪い合って1-1のドローだったのですが、その内容・質の違いに、あらためて「差」「次元の違い」を感じてしまいました。スピードの緩急、イマジネーション豊富な仕掛けの連続、流れのある持続性、ツメの鋭さと執念・・・こんな試合が5月31日から韓国と日本で間近に見られるなんて、本当に幸せなことです。と同時に、日本代表にも、早くそのクラスに到達していって欲しいと感じました。

もう1つ、4月17日には、日本がH組で対戦(6月9日に対戦)するロシアが、「世界チャンピオン」フランスとアウェイで(しかも昨年3月、日本が0-5という惨敗=実際にはスコア以上のもっと大きな差がありました・・・を喫したパリのサンドニ・スタジアムで)対戦しました。この試合はまだオンエアされていないので見ていないのですが、何とロシアは、0-0のスコアレス・ドローに持ち込んだというのです。ロシアは日本にとって、もちろん強敵です。しかも、フットボールの成熟度においては、間違いなく日本代表よりも上でしょう。しかし、近年の成長の勢いと組織性・機動性で日本に勝機もあるかと思っていた(むしろ6月4日のベルギー戦の方が、違った意味で難しい試合になると思っていた)のですが、やはり「伝統国」ロシア、サンドニで、ジダンも出場しているフランス相手にスコアレス・ドローに持ち込むなんて、脅威です。ロシアの中心選手であるモストボイ、カルピンが所属するスペインのセルタというクラブの試合を、もう一度見直してみたいと思います。

さあ、日本代表に残されたテストマッチは、4月29日のスロバキア戦(東京・国立競技場)、5月2日のホンジュラス戦(神戸ウイングスタジアム)、7日のスペインのレアルマドリッド戦(スペイン・マドリッド)、14日のノルウェー戦(ノルウェー・オスロ)、25日のスウェーデン戦(東京・国立競技場)です(レアルマドリッドはもちろんクラブチームですが、その豪華な顔ぶれからして「世界選抜」といっても過言ではありません。そんなチームとの対戦も楽しみではあるのですが、ワールドカップ前のテストマッチという趣にはならないと思います)。

私たちはもちろん、日本全国のサポーター・ファンの皆さんも、1戦1戦、いろいろな視点から、日本代表のパフォーマンスを注視していくことになるでしょう。

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