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“You'll Never Walk Alone”というゴスペルソングをご存じでしょうか。私は中学生くらいの時に初めて耳にして、それ以来大好きなゴスペルの1つです。実はこの“You'll Never Walk Alone”という歌は、フットボールネーションにおいて、非常にスタンダードな、また、たいへん意味深い歌なのです。そのことは、かなり後になってから知ったのですが。

イングランドでも、ドイツでも、フランスでも、オランダでも、スタジアムで“You'll Never Walk Alone”が鳴り響きます。そして、“You'll Never Walk Alone”が鳴り響き始めると、何万人もの大観衆が、いつも大合唱を始めるのです。「俺たちがついてるぞ!」って。
その光景を見る時、私は感動の涙が溢れ出てくるのを止めることができません。敬虔な気持ちすら、沸いてきます。

小野伸二が所属するオランダのフェイエノールトの本拠地、デカイプ・スタジアムでも、“You'll Never Walk Alone”の5万人の大合唱が鳴り響きました。クラブチームによるヨーロッパ2大カップ戦の1つ、UEFAカップ(ウエファ・カップ)で、フェイエノールトは28年ぶりの優勝を遂げたのです。もちろん、日本人初の快挙です。フェイエノールトの大きなフラッグ(旗)を振る小野。カップにkissをする姿、日の丸の鉢巻をしてチームメイトたちとカメラに収まる姿に、中田英寿に次いでインターナショナルプレイヤーの風格を漂わせ始めた小野の成長ぶりを感じました。浦和レッズからフェイエノールトに移籍した最初のシーズンでの快挙に、心からおめでとうを言いたいと思います。

イタリアでは、昨シーズンはローマの18年ぶりの優勝に貢献し、今シーズンはパルマへ33億円という世界トップクラスの移籍金で移籍した中田が、苦しんだ苦しんだシーズンの最後に、イタリア・カップ戦で優勝を果たしました。正直いって、リーグ戦(セリエA)と比べれると重みが少々軽いイタリアのカップ戦ですが、それでも優勝するのはたいへんなこと。おめでとうを言いたいと思います。
リーグ戦の方は、何とか2部への降格を免れるという厳しいシーズンでした。中田自身、苦しみ抜いた今シーズンの経験によって、さらに大きなスケールと奥の深さが身についたことと確信しています。今後のさらなる進化が楽しみです。

もう1人、イングランドのアーセナルへ移籍した稲本潤一ですが、所属するアーセナルが、リーグ戦(プレミアシップ)で4年ぶりの優勝を果たしました(アーセナルは、イングランドの権威あるカップ戦「FAカップ」にも優勝して2冠を獲得しました)。残念ながら稲本は、リーグ戦での出場機会は1度もありませんでした(ヨーロッパカップ戦のチャンピオンズ・リーグの試合には、2試合ほど途中出場しましたが)。
でも、所属チームが国内リーグで優勝したのですから、おめでとうと言いたいと思います。イタリアにしてもイングランドにしても、国内リーグ戦の戦いというのは本当に厳しいものです。その優勝には、本当に大きな栄光と喝采が与えられます。社会的にも大きな注目を集めます。歴史的にも語り継がれていきます。所属選手としてそれを体験できるなんて、稲本自身にとって大きな意義があることでしょう。
来シーズンもアーセナルにとどまるのか、それとも移籍するのか、いくつかの噂が私の耳にも入ってきています。どの国のどのチームへ移籍しようと、ぜひともスケールの大きなインターナショナルプレイヤーに成長していって欲しいと思います。

それにしても、国内リーグ戦の試合といい、ヨーロッパカップ戦の試合といい、こんな厳しい、ハイレベルの試合を日常的に数え切れないほど体験しているのですから、そこでプレーする選手たちはどんどん際限なく逞しく、百戦錬磨になっていきますよね。うらやましい。そんな環境で、もまれにもまれた選手ばっかりで構成されるワールドカップでの各国代表チームは、そりゃもう、どこも手強いわけです。

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