『デジタルラタトゥイユ 〜マルチメディア戦線参戦記』
Ending
1999年11月22日、東京国際フォーラムにて、いい歌をたくさんたくさん聴かせてもらった。
“ELVIS THE
CONCERT”とタイトルされたそのコンサートは、ELVIS
PRESLEYの1970、72、73年のライブステージの映像と彼のヴォーカルを大スクリーンで再生し、当時のバンドメンバーとバッキングコーラスが生演奏してライブパフォーマンスを行うワールドツアーだ。四半世紀以上も経過してからそんなコンサートを体験し感動できるのも、コンピュータ技術やデジタル技術のおかげ。何より、そんな素晴らしいコンテンツを残してくれたELVISのおかげだ。
私が洋楽を聴くようになったのは、小学校6年生頃に、兄がTOM
JONESやENGELBERT HUMPERDINCKそれにELVIS
のレコードを聴かせてくれてからだ。
TOM
JONESとENGELBERTは今でも健在で、60歳を迎えたというのに相変わらず元気満々、素晴らしいパフォーマンスを聴かせ続けてくれている。嬉しいのは、バリバリの若手ミュージシャンやコンポーザーとジョイントしたりデュエットアル
バムを発表したりしてくれていることだ。
その迫力とパフォーマンスは、全く年齢も時代も感じさせない。TOM
JONESと共演した若手ミュージシャンが自分の祖父に「お爺ちゃん、僕TOM
JONESと一緒に演ったんだよ」と報告するなんて、嬉しいじゃないか。しかも、若手ミュージシャンたちの方からジョイントを申し込んで来るという。私がそんな年齢になった時、彼らのようにバリバリの若手と張り合いながら一緒にモノづくりをしていたいものだと、つくづく思う。
本書は、今日のマルチメディアやデジタルコンテンツの業界・産業が、地に足をつけて着実に進歩し発展していくことを願って著した。1999年1月に刊行された『プロが明かす! デジタルコンテンツ業界で成功するための掟74』(砂書房)に続く第2弾である。
本書をお読みいただいて、マルチメディアやデジタルコンテンツの仕事の発展に真摯に取り組むことにご関心を持っていただける方々と力を合わせて、歩みと工夫と成長と進化を積み重ねていきたい。そう、イタリアのセリエAで進化し続け
る姿を毎週見せて私を感嘆させてくれる中田英寿選手のように。
ところで、私たちの会社名「デジラタ」の由来についてよくご質問いただくので、この場を借りてお話しさせていただきたい。実は「ラタ」というのは「ラタトゥイユ」から取ったものだ。「ラタトゥイユ」....いろいろな野菜を入れて煮
込んだ料理。何でも料理してみせましょ、どんな材料でもマルチメディアタイトル、デジタルコンテンツに仕立ててみせましょ、という意思表示なのです。
最後に、本書の刊行に深いご理解とご支援を賜った、あさま童風社の河野久美子・代表取締役に、厚く御礼を申し上げます。
また、私が青い青い新社会人の頃から可愛いがっていただいた、あさま童風社の創業者、故・桐澤佳昇氏に、本書を捧げます。
2000年5月 一番私が燃える季節に。
Ladies and gentlemen, ELVIS
has left the building.
Thank you very much.
竹内 好
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