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「FIFAコンフェデレーションズカップ2001 KOREA/JAPAN」の注目点の1つとして多くの専門家・サポーターがあげていたのが、日本代表の攻撃の形が見えて来るのかという点でした。
昨年のアジアカップでは創造性に富んだ圧倒的な攻撃力でアジアチャンピオンの座を獲得した日本ですが、今年に入ってのアウェイ(敵地)でのフランス戦、スペイン戦では、全く攻撃の形が作れませんでした。
世界の強敵と対戦する際には、当然守備を固めた戦い方を強いられますが、そんな中で、どんな攻撃を展開していくことができるのかということです。

自軍のゴール前に人数をかけて守ってばかりいれば、ある程度失点は防ぐ(=相手にゴールを許さない)ことができます。しかし、そのような戦い方だけでは、90分間守り抜くことは不可能です。「攻撃は最大の防御」という例えがありますが、サッカーでも同じこと。たとえ人数の多くを守備に割いたとしても、鋭い攻撃を繰り出すことが不可欠なのです。
それに、サッカーは得点(ゴール)を奪って相手を倒すスポーツです。幾ら守備を固めて失点を極力抑えたからといって、得点を奪わないことには勝利を手にすることができないわけですから、守備からいかに攻撃の形を作り、相手ゴールに迫るのかを模索するのは、当然のことです。

さて、今回のコンフェデレーションズカップでの日本代表チームの戦いぶりを見ていて、攻撃の形までとは言わないまでも、攻撃のコンセプト、攻撃のための必要条件が、非常に明確になってきたように思うのです。

日本の特長は、速いボール回しにあります。日本の中盤が世界からも評価を与えられているのは、中田英寿、小野伸二、稲本潤一や、今回は出場していませんが中村俊輔、名波浩などをはじめとするタレント(才能ある)選手たちを中心にしたボール回しにあります(だからこそ、日本を警戒するチームは、中盤で強烈なプレスをかけて、日本の中盤のパス回しを妨ごうとしてくるのです)。
日本は、攻撃においても、相手ゴール近くで、日本の特長である速いパス回しを駆使することが、得点をもぎ取る大きな鍵であることを再確認しました。
さらに重要なことは、相手ゴール近くでその速いパス回しを駆使するためには、基本的に最低でも3人の選手が絡んでいく(=相手ゴール近くまで侵入して、ボール回しに参加する)ことが不可欠なのではないかということです。
今回の基本フォーメーションで例えていうと、西澤明訓と鈴木隆行(または中山雅史)の2トップだった時に、後方からの中田ヒデのパスに、2トップの西澤と鈴木(または中山)に加えて森島寛晃も絡むといった動き。あるいは、西澤の1トップだった時でも、西澤に加えて中田ヒデと森島が後方から走り込んで、そこへ小野や稲本のパスが出て来るといった状況です。
もちろん、後方から相手ゴール前に走り込んでくる選手は、中田ヒデや森島や小野や稲本ばかりでなく、明神智和や戸田和幸や伊東輝悦、あるいは最終ライン(ゴールキーパー前の守備ライン)の森岡隆三や松田直樹や中田浩二でもいいわけです。

こうして常に最低3人が相手ゴール近くに侵入してくることによって、日本の武器である速いボール回しを相手ゴール前で展開することができるのです。逆にいえば、体格やスピードや瞬発性で劣る日本選手が相手ゴールを脅かす、ゴールを奪うには、常に最低3人の最前線への飛び出しが必要ということです。
それが日本の攻撃において、まず明解で重要なコンセプトでしょう。
このコンセプトの上に、これからさらにアイディアに溢れた、創造性に富んだ攻撃の形を作り上げていって欲しいと思います。そして、それをしっかりモノにする(=きっちり得点する)技量とメンタルにも、もっともっと磨きをかけていって欲しいと思います。
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