2002.7.29 【インタビュー】
  「神様」ジーコ監督就任で、日本代表はどう変わる?
 

LADYWEB 新しい日本代表の監督に、「神様」ジーコが決まりました。ジーコは、今まで他の国からオファーとか来てなかったんですか?

KOH先生 実はジーコには、そもそも監督経験がないのです。代表チームの監督だけでなく、クラブチームの監督の経験も。鹿島アントラーズでは総監督をやっていますけど、総監督と監督では全然違うわけです。正確には、アントラーズの監督の後任が見つからない時に、暫定的に監督代行をしたことはあるんですけどね。でも、監督経験のうちには入らないでしょう。監督経験のないコーチに、普通オファーは行かないでしょうね。
監督経験がない人がナショナルチーム、つまり代表チームの監督をやった例は、確かになくはないです。例えば、プラティニが引退してすぐにフランス代表の監督をしました。で、1992年のヨーロッパ選手権でグループリーグで敗退して解任されたんですけど。ベッケンバウアーも、コーチライセンスは持っていなんだけど、1986年のワールドカップの時に、あまりドイツチームの状態がよくないので切り札としてベッケンバウアーにやってもらおうとということで監督に就任して準優勝して、90年のワールドカップではそのまま監督をして優勝したことがあります。そんなわけで、監督経験がない人が、その国のナショナルチームの監督をやるっていうのは時々あるんですが、他国の監督をするというのは、常識的には考えられないですよね。とにかく、監督として未知数なんですから。

LADYWEB そもそもサッカー界の神様ともいえる、ジーコがなんで日本にずっといるのか疑問だったんですけど。

KOH先生 う〜ん、正直に言うと、ジーコを神様と呼んでいるのは日本だけかも。もちろん、歴史に残る偉大なスーパースターであることは間違いないんですが、ワールドカップで1度も優勝していないし、世界のフットボールシーンで偉大な経歴を残しているかというと、少し見劣りはします。
ジーコは引退後、ブラジルのスポーツ省の初代大臣をやってたんですよね。それを降りて、まだJリーグが出来ていない時代の日本に、しかも当時のトップリーグにも属していなかった住友金属、今の鹿島アントラーズの前身ですけど、それに来たんですよね。
日本では確かにJリーグの草創期を選手として支えてくれました。日本にプロフェッショナル・マインドを吹き込んでくれた選手であることは間違いないですね。その後もずっと日本に係わってくれた、まあ、アントラーズも年俸1億円近いギャランティを毎年負担してきましたが。そういう経済的な要素もあるとは思うんですが、日本のサッカーを良くしたいと思ってくれているのは間違いないと思います。
ただ、2002年のワールドカップの前だったら監督要請を受けなかったと思うんです。事実受けてなかったですよね。2002年は自国開催ですから予選がないし、日本代表の監督をやるには有利だったと思うんですけど、日本の戦力的にと言うか、選手の資質的に、まだちょっと、と思っていたんじゃないでしょうか。それが今回、トルシエ監督で、自国開催とはいえ、グループリーグを突破してベスト16に入ったし、その結果よりも、選手の質が、若い選手でいい選手が随分たくさん出てきて、国際舞台での経験もかなり豊富になってきた。確かに、Jリーグが出来てからプロになった選手と、それ以前からプレーしていた選手とではクオリティが違うわけです。そういう選手の底上げをみて、失敗はしないだろうと、そういう見通しも持ってくれたんではないでしょうか。
確かにジーコとしてみれば、失敗はできないわけですよね、世界的な名声があるわけですから。日本の代表監督をいきなりやって、例えばアジア予選を負けてしまうとか、アジア予選を突破してもワールドカップのドイツ大会で3敗しちゃうとか、それはまずいですよね。でも、それはまあないかなと、そういう危険性はかなり減ったなと、そういう計算もあるんじゃないでしょうか。
私には、ジーコに頼んじゃうところがまた、日本サッカー協会のアマチュアリズムの現れみたいな気がするんですけど。
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