2003.4.7
  相変わらずコンセプトが見えないA代表
 

3月28日に、今年初めてのA代表の試合(国際Aマッチ)が行われました。

内外の諸情勢から急遽決まった試合にもかかわらず、国立競技場のスタンドがビッシリ埋まっていたのが印象的でした。


試合の方は、レコバ(イタリア・セリエAのインテル・ミラノ所属)擁するウルグアイに常に先行を許しながら2−2のドロー。ジーコ監督が就任して3試合めの国際Aマッチでしたが、またしても勝利は成りませんでした。

もっとも、この段階での勝利は唯一最大の重要事項ではありません。もちろん、きっちりと勝つことは大事なことですが、これはいわば親善試合でありテストマッチ。本当に勝利を求められるのは、ワールドカップ予選やワールドカップ本大会での熾烈な戦いの場においてなのです。ましてや、はるばる日本に長旅をしてきたばかりでコンディションやモチベーションが万全とは言えない相手チームにいくら気持ち良く勝ってみたところで、それは必ずしも大きな価値あることではない、ということは、もう既に多くの皆さんがお気づきのことと思います。

テストマッチでは、試合結果よりも、いかにチームが出来上がっていっているか、それを選手や関係者や私たちも確認し、今後の方向性を探っていくことにこそ、より大きな意味があると思います。


海外からわざわざ中田英寿、小野、稲本、中村俊輔、鈴木、高原、そして川口を呼び戻して挑んだウルグアイ戦でしたが、どういうチームづくりをしていこうとしているのか、コンセプトが相変わらず見られないというのが、私の率直な感想です。

ジーコ監督は、選手たちの個性と自主性を重視したチームづくりを掲げていると聞きます。前任者のトルシエが、そのチーム戦術や決まり事の中に選手たちを縛りつけていたように伝える向きが今日でも少なくない中で、従来的な日本のメディアのスタンスなりバイアスとしては、ジーコ監督のそうしたコンセプトをもてはやす空気にあるように感じます。


もちろん、選手たちの個性や自主性を重視するのは大事なことですし、サッカーというスポーツにおいては、前後半45分が始まってしまうと、ベンチ(監督やコーチ)ができることは非常に限られています。そこでは当然にして、いくら素晴らしい選手育成・チームづくりをしていようとも、いかに練り込まれた戦術や作戦を立てていようとも、選手一人ひとりの個性や自主性や能力・判断力が発揮されることなくして、勝利を得ることも、納得できる試合をすることも、ありえないのです。それがサッカー(トータルフットボール)というものです。

そうしてみると、「選手の個性や自主性の重視」というフレーズがことさらに強調されて伝わってくることに、少々違和感を感じてしまいます。実際に、現在のA代表のチームづくりに不安を感じているファンやサポーターもかなり多いようです。


今後のA代表のスケジュールは、今月16日にアウェイで韓国戦があり、5月末には横浜で開催される東アジア選手権、6月には日本で2試合を戦うキリンカップ(うち1試合は大阪でのアルゼンチン戦が予定されています。)と、フランスで開催されるコンフェデレーションズ・カップへの出場と、国際Aマッチが目白押しです。 これらの試合の中で、ジーコ監督の目指すチームづくりのコンセプトや土台や骨格が明らかになってくるのか、注目していきたいと思います。
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