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ソフトが開くマルチメディア元年 −特集 マルチメディアって何だろう?(その1)
WANPAKU KOZO OWNER'S PRESS 1994年1月号:竹内 好
■CD-ROMの市場性

 最近のマルチメディア業界を一言でいうと、業界内にあった壁が崩れ、ソフトの制作もどんどん商業ベースにのり始めてきました。
 私自身がこれまでプロデュースしてきたものでも、例えば1991年にFM-TOWNS版で出したCD-ROM、「おばあちゃんの知恵袋」は、商業的にも成功したと思いますし、それ以降の作品も、ある一定水準の商業ベースを確保できるようになりました。但し、いわゆるファミコンなどのゲームソフトのミリオンセラーに比べれば、ごくごく小さい成功の積み重ねにしかすぎません。
 ご存じの通り、CD-ROMは規格が統一されていませんので、それぞれのプラットフォーム別に作られています。だから、一つの作品をより多くのユーザーに届けようとするとマッキントッシュ版も出せば3DO版も出すといった複数のプラットフォームを跨いで作らなければなりません。従って、ワンヒットでドンと儲かるというのは、構造的に難しいのです。
 ただ、ここ4〜5年の間、マルチメディアという言葉が実態を持たずに先行していたという状況に、ようやく実態が追いつき追い越せになってきました。よく業界内で言われていた「マルチメディアの概念はもうわかったから早く商売にしてよ」が、実現されてきたのです。
 ここ数年、毎年のようにマルチメディア元年と言われ続けたおめでたい業界なのですが、やっと本当の元年がやって来るのではないでしょうか。


■CDは最終メディアになるのか?

 現在、マルチメディアのパッケージにはCDというのが定番になりつつありますが、それが将来的にも続くとは思えません。
 CDは大容量といわれていますが、私自身プロデューサーとして制作に係わった経験からいうと、例えば音声をたくさん使うことを考えると、とても大容量とはいえないメディアです。
 また、動画に関してビデオCDという規格が出ましたけれど、ビデオCDは現在のビデオテープにかわるものとして、今後、威力を発揮すると思いますが、マルチメディアにあれだけの動画容量が必要かどうかは疑わしいと思います。マルチメディアの場合には、それよりもアクセスの早さとか、奥行きの深さとか、インタラクティブ性の方が大切です。ただゲーム業界にとってのCD化は、製造コストの減少や再版工程の効率化など、大きなメリットがありますので、今後も推進されていくと思います。
 マルチメディア全体から言えば、個人的には、CDは4〜5年後にピークを迎え、そのあとまた新しい技術革新があるのではないかと思います。
 また、通信とマルチメディアの関係については、例えば米国では情報スーパーハイウェイの構築を、軍事産業にかわる新しい経済をささえる産業として国策でやっていますが、それでも通信電送でマルチメディアが送れるようになるまでにはかなりかかると思います。また、そうなったとしてもパッケージ型の商品は必ず生き残るのではないでしょうか。


■インタラクティブとは何か

 現在のマルチメディア業界の状況は、手当たり次第にCD-ROM化が行われている状態といっていいでしょう。
 例えば童話のようなお話ものや企業研修もの、学校教育もの、さらにはゲーム性を加味したネイチャリングもの、SFものやインタラクティブムービーのスタイルのものなど、多種多様のものが、次々と作られています。
 そこで問題となってくるのは、ゲームとどう違うのか、というマルチメディアCD-ROMのインタラクティブ性です。よく、インタラクティブを説明する時に、ついファミコンやメガドライブを引き合いにだしますが、それは厳密には違っているかもしれません。
 例えばシューティングゲームがインタラクティブですと言ってしまうと、ああいった反射神経型のものだけが、インタラクティブと誤解されます。
 CD-ROMはもともとデータベースとして登場してきた経緯があるので、例えば昆虫図鑑を作るというのは得意です。そこでただの昆虫図鑑と違って、自分が野山を散歩しながら昆虫を見つけていき、その生態を調べていく、という風になると、これはマルチメディアらしいインタラクティブになってきます。その中にはいわゆるロールプレイングゲームのような固定されたストーリーや結末もありません。つまり、書籍やビデオソフトといった既存メディアの長所を包含し、融合し、かつゲームとは違った楽しみ方ができるのがマルチメディアなのです。
 デジタル技術の根本では、TVゲームもマルチメディアも同じなのでしょうが、ゲームと限定しない方が、マルチメディアの可能性を大きく拡げていくと思います。
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