2003.7.3
  「A代表強化月間」を振り返ってみましょう
  ・・・2nd half
 

今回のコンフェデで、日本も新しいメンバーが戦力として計算できることが確認できた部分があります。遠藤保仁をはじめ、フォワードの大久保、サイドバックの山田、センターバックの坪井などです。その意味では、選手層の充実について一定の手ごたえを感じることができたと思います。

その一方で、小笠原や中田浩二など、中心になるメンバーと思っていた選手たちの中に、残念ながら期待外れだった選手もいます。海外移籍も噂されるクラスなのですから、もっと貪欲なプレーを欲しかったと思います。より高いレベル、より厳しい環境でプレーする道を選択してくれることを期待するしかないのでしょうか。

また、システム・フォーメーションとしては、現在の4-4-2でこれからも行くのでしょうか。間違いなく4バックは続けるでしょう。今大会でもあらためて感じた日本のフォワードの現在の能力レベルを考えると、日本のウリである中盤の豊富なタレントをもっと生かす方が相応しいようにも思われます。また、中盤でも稲本のように、得点力、攻撃力はあるけれども守備やバランスや持続性に不安がある選手を有効に生かすためには、どうすればよいのでしょう。そこで、例えば4-5-1(4-2-3-1または4-3-2-1)のシステムにしてみるのも、1つの方法かもしれません。3バックの時は1トップでは攻撃の枚数が少な過ぎてしまいましたが、4バックならば、1トップにしてもそうはならないように思えます。

「決定力」についても、現在の日本の選手たちの能力や才能や選手層を生かした攻撃スタイルの模索に、もっと分析的に取り組んで欲しいと思います。フランスだって、1998年のワールドカップで優勝していますが、その前の94年のワールドカップで予選敗退した後、フランスチームとしての攻撃スタイルを生み出すべく分析と研究を重ねて(もちろん、そうした分析・研究だけによるものではありませんが。)今日の攻撃力をモノにしてきた経緯があったと記憶しています。

また、メディアでも采配を疑問視する声が出始めたジーコ監督ですが、私からすると、ジーコ監督が就任した時点で既に予想されたことです。本来ならばもっと適任者がいると思うのですが、とは言え、ここはもうしばらく様子を見るしかないと思うのです。もちろん、スパッと監督交替すれば大したものですが、日本の流儀というか性質として、それはありえないでしょうから。ただ、このようなチームづくりでは、2005年に予定されている2006年ドイツ・ワールドカップのアジア予選は、たいへんな苦戦が予想されるでしょう。そのことを強く念頭に置きながら、私たちファンもサポーターも、メディアも、そして日本サッカー協会関係者も、日本チームの強化を真剣に考えていく必要があると思うのです。監督交替のタイミングについても、何かの国際大会(例えば、来年開催が噂される先ごろ延期された東アジア選手権とか、2004年のアジア・カップとか…)での成績を評価判断して監督交替を考えるよりも、何らかの客観的な診断・分析をもって監督問題を議論して欲しいと思います。何かの国際大会で優勝しようと敗退しようと、ワールドカップやワールドカップ予選の前では、それは何の意味も持たないのです。全ての道は「ワールドカップ」なのです。これもまた、フットボールの世界の常識です。世界のフットボールの「リング」は、本当に厳しいのですから。


最後に、今大会中に急逝したカメルーン代表のマルク・ビビアン・フォエ選手のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。(了)

   
 

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